今日は生徒会行事で猫祭りなるものが開催されていた。皆に髭を描かれたり、落書きされていたら、ルルーシュが生徒会室に入ってきた。
「スザク…」
「ルルーシュ!」
スザクの有り様に、一度ルルーシュは停止し、その後でぷっと吹き出した。スザクが生徒会に馴染んでいるのが、嬉しいみたいだ。
「ルルーシュもっ!」
「スザク!やっちゃいなさい」
「は、はい!」
リヴァルとミレイ会長に言われて、スザクもルルーシュを無理矢理猫祭りに参戦させた。猫耳を被らせ、猫髭を描いて、響く笑い声に、危険に陥っていた友人達が生きているという幸せを実感した。
生徒会のメンバーが帰った後、スザクは片付けをすると言うルルーシュとクラブハウスに残った。
「まだ涙目になっている」
「ごめん、」
「別に。でも、恥ずかしいやつだな」
ルルーシュがスザクの頬を軽くつねる。優しくキツいことを言うので、なんだかスザクは笑ってしまう。それに…スザクはお返しとばかりにルルーシュの頬に触れた。まだ髭の跡が残っている。
「ルルーシュって、猫っぽいよね」
「え、」
「すごく似合ってたよ」
スザクが笑うと、ルルーシュは頬を赤らめながら視線を反らした。
「会長はこういった悪ふざけを思い付く天才だな」
「楽しかったね」
「そうだな」
ルルーシュが頷くのに嬉しくなって、スザクは彼の頬にうっすら残った髭を何度もなぞる。ルルーシュは困ったように笑いながら、スザクの肩口に顔を埋めた。近付いた距離に胸が弾けた。
「ル、ルーシュ」
戸惑いながら名前を呼ぶと、手の平をぎゅっと握られた。なんとなくルルーシュの心細さみたいなのを感じ取って、スザクはルルーシュのこめかみにキスをした。甘いシャンプーの香りが鼻孔を擽る。と、ルルーシュがこちらを少し驚いたように見上げた。紫色の瞳は何かを戸惑っているようだった。スザクは分からないまま、肩をすくめて微笑むと、その上唇にちゅ、と吸い付かれた。
「ん、ん、むぅ、」
「スザク、」
名前を呼ばれて初めて、キスをされているのだと自覚する。ルルーシュの背中に腕を回し、懸命にそれに答えた。緊張したように震える舌が、触れた瞬間電撃が走ったようだった。まるで初めてしたみたいに、幼稚で、必死で、だけど胸を揺さぶるキスだった。
2008/03/27 終わり