ゼロの誘いを振り切って、裁判に向かったスザクだったが、予想に反してスムーズに釈放された。
反逆を働いたゼロに対する処置で、上層部は混乱状態にあるようだ。
ひとつ、気掛かりなことがあった。ダールトンに指摘された、ゼロという男の正体。
「確かにゼロは自分を助けようとしました。しかし、自分はゼロに協力などしていません…!」
「なるほど…」
何かを探るようなダールトンの瞳。スザクの必死の主張を、疑っているわけではなさそうだった。
「世間では、ゼロは自身の売名行為の為にあの場にいた枢木を助けたと言われているという。にも関わらず、ゼロの目的が自分だったと、お前は感じとったわけだ。それはあながち間違いではないかもしれん。」
心してかかれよ。ダールトンは念押しをした。スザクの方も、心当たりがないわけではなかった。
ただ、まさか、という思いの方が強かった。大体、彼が無事なのかという保証もない。
それよりも、今すべきことは、自分の与えられた任務をただ果たすことだ。
一番に必要なのは、ゼロの捕獲なのだろうが……それではゼロを説得する方法を考えようとしたら、空から少女が降ってきた。
「ありがとうございます」
慌てて両腕で受け止めると、可愛らしい笑顔が向けられた。
少女、ユフィに、ゲットーの案内を頼まれた。スザクは彼女の頼みを受けることにした。特にこれから用事もないし、考えようとしても路頭に迷ってしまう気がした。
ユフィの柔らかな雰囲気は、スザクの気持ちを癒してくれた。クリィムをたっぷりと塗られたクレープを手に、空いているベンチへと座る。噴水の音が人のまばらの公園の中響いた。
「あら、私と同い年なのね」
「そうだね」
「じゃあ、…同年代のお友達はいる?」
「友達…」
ユフィの問いに、スザクはルルーシュを思い浮かべる。軽く笑い、頷いた。
「一人だけ、昔に」
「昔?」
「先の戦争で、離れ離れに」
「そうでしたか…」
ユフィがうつ向いた。見た所、彼女はブリタニア人だ。なのに傷付ける発言をしてしまったと、スザクは後悔した。
「あの、ユフィ?」
「私も」
「え?」
「私も、友達と別れてきました。」
ユフィがスザクをじっと見つめる。青みがかった紫の瞳は、優しさの中に強さを含んでいた。
「でも、離れていても彼女たちとはずっと友達です。きっと、あなたのお友達も」
「ありがとうございます。」
スザクは彼女に笑顔を向けた。ユフィの言葉は、何だか全て信じることが出来てしまった。
きっと、彼女の中に嘘がないからだろう。
この後、ユフィがブリタニア第3皇女であるとスザクは知ることになる。お互いの立場が分かっても尚、ユフィはスザクに懇意にしてくれた。アッシュフォード学園に通うよう進言してくれたのも彼女だ。きっと、彼女自身も、学校に対する未練がないとは言えなかったのだろう。
何はともあれ。
(ルルー、シュ)
スザクはそこ、アッシュフォード学園で、運命の再会を果たすのだった。
2008/02/28 終わり