ゼロと名乗る仮面の男に、裁判に向かう途中助けられた。
半ば意地になっていたスザクは、ゼロの結果が全てだという一言に、彼に対し耳を傾けることを辞めた。
助けられたことは感謝する。しかし、彼に従い再び自分が間違いと信じていることを犯すことは出来ない。
「間違った方法で得た結果に、価値は無いから」
スザクはゼロに背を向ける。自分が今行っていることが、正しいかも分からない癖に、分け知り顔で虚勢を張った。
それで死んでも、構わないとまで思っていた。
「この、馬鹿…!」
押し殺したようなゼロの言葉に、彼は自分を殺さないと確信めいたものが沸いた。
殺さない、犯さない、強要しない、命令しない。当たり前の関係、スザクが守りたかった友達の彼のような、苛立ちが込められた言葉だ。スザクは胸がすっと軽くなった。
「昔、友達にも言われたよ。」
それから、仮面の彼を振り返る。ルルーシュの無事を頼んでみようか。いや、ゼロに賛同出来ないのにそんなことをするなんて、虫のいい話だ。それに、ゼロはスザクの覚悟を気付いているだろうが、わざわざ死ぬことを宣言する必要はない。
「助けてくれて、ありがとう」
それだけ言って、踵を返す。スザクはどこか晴れやかな気分であった。
2008/02/22 終わり