「んぅ、……」
名前を呼ぼうとした声はキスで塞がれた。言葉以外で答えようと、腕を背中に回す。ルルーシュとは何度もキスをしたが、強引に奪われたのは初めてだった。おかげでいつもより早く下腹が反応を見せてしまい、スザクは困ったように目を細めた。
「ぁむ、ルルー、シュ」
キスの合間に吐息で名前を呼ぶ。ルルーシュの方も密着させた腰先から硬くなっているのが分かった。だったら我慢する必要はないよな…と、ぼんやり頭で考えて、そこへと手を伸ばす。それから予想外の事態が起こった。ルルーシュにその手を阻まれた。
「ぇ、うわぁ!」
不意を突かれて柔らかいソファに押し倒される。普段はけっこう好き勝手に触れさせてもらっていたから、どんな真意があるのかとルルーシュを伺う。ルルーシュは肩をすくめ、安心させるように笑いかけた。
「ぁっ、」
首筋に顔を埋められ、そこにチクリと痛みが走る。所有印のような赤い花びらを、下へ下へと刻み込まれていく。怒っているのかな、なんとなく思った。怒ってはいないかもしれないが、認めてはくれていないだろう。ルルーシュやナナリーに喜んでもらいたくて頑張っていたのにと、スザクの胸はざわりと騒いだ。
「ゃっ…!」
脇腹に甘く噛みつかれ、スザクは体を捻らせた。ルルーシュは逃げることを許してはくれなくて、強引にスザクを後ろから抱き込める。その体勢を良いことに、つぷりと後ろに指を挿入された。
「ルルーシュ、やぁ…」
「だーめ、」
まだ前を一度も触らせてもらっていない。固く立ち上がり、トロトロと先走りを垂らしたそこは、直接的な刺激を求めてふるふると震えた。自分で処理しようとすると、ルルーシュにやんわりと止められる。仕方ないから後ろの愛撫を享受しようと、ルルーシュがいじりやすいように腰を上げた。
「へっ?…ゃっ、あ…っ!」
ぬめりとした感触が後口に侵入して、スザクは大きくあえいでしまう。見ると信じられないことに、ルルーシュがスザクの蕾を丁寧に舐め上げている。
「ゃだっ!ルルー、シュ!そんなとこ…」
「どうして?こうして欲しかったんじゃないのか?」
「違うっ、ぅ、指で……しやすいようにって…」
「指の方がいい?」
こくこくと頷く。刺激が強すぎて、舐められたりしたらすぐいってしまいそうだ。それにルルーシュにそんな所を舐めさせるなんて出来ない。
入り口を溶かしていた舌が出ていき、指がつぷりと入ってくる。安心したのもつかの間で、再び濡れた感触が戻ってきた。
「ゃっ、なんで…!」
「どうせだから両方でしようかなって」
「やだやだっ、汚いよルルーシュ…っ!」
「別に、綺麗なことをしているわけじゃないんだから、いいじゃないか」
「ゃっ…」
「大丈夫、お前は綺麗だから」
ルルーシュがスザクをなだめるように声をかける。スザクが綺麗か汚いかの問題じゃなくて、ルルーシュがこういった行為をすることがスザクにとっては問題なのだが、分かってくれない。
(ルルーシュはただ、入れてくれるだけでいいのに)
自虐的な感情が浮かぶ。が、ルルーシュにたっぷりと唾液を注ぎ込まれて、スザクの理性はどんどん崩壊して行った。
「ぁっ、んぅ……吸わな、で…」
「もうこっちもビチョビチョだな?」
きゅ、っと前を握られ、ナカがルルーシュの舌と指を締め付ける。トロトロに溶かされたそこは甘く収縮を繰り返し、はしたない水音を立てた。
「はっ、ルルーシュ、もぅ…」
スザクが限界を訴えると、求めていたルルーシュを後ろにあてがわれた。思わず逃げ腰になるそこをしっかりと固定されて、入り口を拡げるようにゆっくりと侵入してくる。
「あ、ぁっ…!」
「十分に解かしたからかな…絡みついてくる…っ、スザク、痛くないか?」
「ぅ、ん……気持ち…」
スザクはこくこくと頷き、ルルーシュの腕をぎゅっと掴む。後ろから交わる体勢は苦手だったのに、気付いたらしっかりと受け入れていた。普段とは違った所を擦って進んで行く感触に、スザクは上擦った声をあげる。
「ぁっ、あ……いぃ…」
「それは良かった」
「ルル、シュ、動いて…?」
「このままで大丈夫?」
ルルーシュがスザクの苦手な体勢を気遣ってくれる。スザクは再び懸命に頷いた。
「ぅ、…ん。ルルーシュに、ぎゅってしてもらってれば、大丈夫……」
言うとルルーシュがさらに強く、後ろから抱き締めてくれた。それから少しずつ、スザクの内壁を味わうように腰を移動させる。奥までは強引に捻り込ませて、それから優しくナカを侵食していく。ルルーシュと繋がっている。愛しい、嬉しい、そんな幸福な感情が浮かぶ。
耳たぶを食まれ、吐息で囁かれた。
「スザクの顔を見てイきたい。駄目?」
「んっ、い…よ」
抱き締められていた腕を離され、入れられたままの状態で体をルルーシュの方に向けた。ナカで変化するルルーシュを感じて、ぎゅっとそこを締め付けてしまう。それから激しい律動が再開された。
「ぁっ、あ、ん……」
「スザク、スザク、好きだ……」
「ふぁ、っ…ぁ、僕も…」
「愛している…」
「ルルー、シュ…!」
愛している。
その言葉は、どんな証しや誓いよりも、スザクの心を縛り付けるものだと思った。
2008/4/5 終わり