軍務が終わってからもここに来るのだから、自分は余程好きなのだろう、とスザクは思う。
それはルルーシュのことがなのか、この行為のことがなのか、実は良く分かっていない。
身辺の大きな変化があり、もう軍の慰み者になることは久しくなかった。
だから、というわけではなく、最初はただルルーシュに会いに来ているだけなのだから、やはり自分はルルーシュのことが好きなのだと思う。離れたくないと、放したくないと思っている。


「ルルー、シュ、」
「スザク、」

部屋に入った途端、後ろから抱き締められた。普段とは違う性急な態度に、スザクは喜びを自覚する。このときだけはルルーシュを独占しているのだと、醜い満足感を得ている。

首筋に薄く吐息がかかったかと思うと、軽く噛みつかれた。背中越しの愛撫はもどかしく、どうやら自分は本当に、彼との行為では我慢がないと自嘲する。

ルルーシュはスザクを傷つけるような強引な行為は絶対に強要しなかった。その優しさを、彼の全てに投影してしまう。

スザクは焦れた熱を彼に伝えるように、後ろを向いてキスを落とした。熱い吐息は彼も一緒で、頭の中は彼を疑うことを忘れた。


だから、だったのだろう。


「君に一番に言いたくて」
「何?」
「僕は、ユーフェミア様の騎士になる」


スザクが吐息で伝えたその刹那、ルルーシュの顔が歪んだことに、気付かなかったのは。
脳天気に彼の熱い口付けを受け止めるのに、溺れた。愚かな自分に後悔をする手だてはない。




2008/4/4 終わり
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