父との攻防

おぼろ気になっていた。肉の感触、それを、はっきりと思い出した。

そうだ、僕みたいな人間は、生きていてはいけないんだ。

闘いを終えた白い騎士の中で、スザクは放心状態のまま四肢を投げ出していた。


「スザクくん!?スザクくん!?」

セシルの焦った声が、どこか遠いところで響いていた。

(僕は、僕は……)

殺した。たくさんの人を。同族を。全て、自分のせいだ。

(ル、ルーシュ)

唇だけで名前をつむぐ。声は出ない。息が苦しい。

「スザクくん!」

僕はどうしてこんなところにいるんだろう。それで、何を成し得ることが出来るって言うんだろう。

操縦悍を握る手が、痙攣し始める。

違う。

(あの時は、ああするしかなかったんだ!)

違う。

(全てを終わらせるために。僕は父さんを殺すしかなかったんだ)

違う。

(正義を貫くために、人を殺す。間違った方法で)

違う!違う!違う!違う!

スザクの全身が震えだす。父の瞳が、スザクを捕える。

僕は、僕は、僕は、俺は……

何がしたかった?何を望んでいた?何が欲しかった?何を夢見ていた?

……父さん。

全てを終わらせてから、そちらに行く。咎は受ける。今も尚、生きることで受けている。

(ルルー、シュ)

スザクは瞳を閉じる。止まっていた時計が、反対方向に動き出した、そんな気がした。




2008/03/28 終わり
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