学園での生活は、本当に楽しい。
スザクは弾む気持ちを抑えながら、制服のボタンに手をかけた。
隣を横目で伺うと、ルルーシュの方もふてくされながらも丁寧にひとつひとつボタンを外している。
その姿がかわいらしくて、くすりと笑ってしまった。
「なんだよ、スザク」
「別に、」
無意識に笑みを浮かべて、スザクはシャツを脱ぎすてた。
今日は生徒会主催のイベントで、男女逆転祭というのをやるのだ。男子が女子の制服、女子が男子の制服を着て、それぞれ授業を受ける。
ミレイ会長から手渡された女子制服(おそらく特注だろう、)に腕をとおしていたら、ルルーシュの盛大なため息が聞こえた。
「去年もやったんだぞ、この企画」
「盛況だったと聞いたよ。」
「女子も男子も、カメラやらサインやらでうるさいんだ」
「ルルーシュ、人気なんだね」
ミレイ会長が、ルルーシュは生徒会予算に大きく貢献してくれたと満足げに語っていた。確かにルルーシュは、体の線は細くて、色白でとても綺麗だ。皇子(本物だけど)のように気品があり、皇女のように可憐で儚い印象もある。男女共に人気があるのは当然のように思えた。
「あれ?」
女子制服のボタンをいざかけようとしたら、胸のあたりでつっかえて留まらない。困った顔でルルーシュに助けを求めたら、彼はもうスカートも着替えた後だった。
「なんだ、着れないのか?」
「うん…」
ルルーシュがこちらによって、シャツの前身を両手で引っ張った。なんだかいらいらしているような表情だ。そんなに嫌なのかな、男女逆転祭…。
「くそっ、留まらないな。」
「軍で鍛えているからかな…」
無くてはならないものだけど、学生生活には邪魔になるのだ。(普通の学生生活でもないが。)お前の場所はここじゃないとつきつけられているようで、切ない。
「仕方ないな。スザク、今日は普通の制服で過ごせ」
「え、」
ルルーシュの言葉に眉をひそめる。確かに着れないのなら仕方ないけど、楽しみにしていたのに、悲しくなってしまった。
「でも、会長の命令だし。」
「なんだ、そんなに着たいのか?」
「ルルーシュ、飽きれてる?それとも怒ってるの、」
スザクが首を傾げてルルーシュを伺うと、彼はシャツの前身を持ったままスザクの頬にキスをした。
「どちらでもないよ。ただスザクの顔がそう言ってたから。」
「楽しいんだよ」
「わかっている。だから、明日にでも会長に言って…」
なんだかルルーシュの紫色の瞳を見ていたら、涙が溢れそうになって、スザクはルルーシュの胸に顔を埋めた。細身の体は一瞬ビクリと震えたが、すぐにやさしい掌で背中を撫でられる。
「スザク、?」
「友達なんていらないと思っていたんだ」
「……、」
「君と会うまでは。君と離れてからは。自分の正義を貫けるなら、いらないと。」
今の僕はひどく不安定だ。
スザクは思う。例えば片方しか知らなかったら、もう一方を願うことすらしなかっただろう。もう経験してしまった暖かい場所。変わらないルルーシュがいる場所。
離れられるのか、わからない。切り捨てられるわけがない。
きゅ、とさらに強く抱き締められた。ひらひらのスカートが膝にあたり、はりつめた気持ちが和らぐ。
「女の子に抱き締められているみたいだ」
「それ、禁句だぞ」
「似合うよ」
そっと唇に口付けた。感謝の気持ちを込めて。スザクの醜さを知って尚、側にいてくれる彼に。それから誓いの意を込めて。彼と彼の妹を、幸せに出来るように一生守っていきたいと。
「きっと、お前の方が似合う」
「ダメだよ、僕は」
「どうして?」
「ダメだ、」
訓練された、普通の学生とはかけはなれた体つき。ルルーシュが不機嫌そうにスザクの体に指を這わす。ルルーシュの指は、細くて綺麗で、それでいて意地悪だ。スザク以上に、スザクが感じる場所を知っている。
「ルルーシュ、早くしないと授業が始まるよ」
「大丈夫だ」
「またサボる気?」
「飽きれているな」
「ん…ぁ」
鼻から高い声が抜けた。恥ずかしい。ルルーシュの指は胸の突起に触れていた。
「やめ、ルルーシュ!」
「自分の正義に従うのはいい。ただ、押し付けるな。」
「ルルーシュ、」
「大丈夫だ、スザク。」
「うぁ…それも、ゃ…」
今度は舌先でトンと舐められる。ルルーシュの言葉に頭を左右に振る。
ルルーシュの声は優しい。
「俺が、お前を守るから」
「ルルー、シュ…」
「大丈夫だ」
チュク、と音を立てて胸の突起を吸われた。ルルーシュはいつでもスザクに甘い。大切にされているのだと実感出来る。それなのに不安になるのは、やはりスザクの不安定な精神状態に問題があるわけで。
自分がどこにいるのか分からない。
けれど、ルルーシュに触れられた部分から自身の存在を自覚出来るのだ。
「ありがとう、」
「スザク……」
「ルルーシュ、すごく似合ってるよ」
「だから、言うなって」
ルルーシュは照れているのか怒っているのか、スザクの首筋に軽く歯を立て跡をつけた。女子の制服だったら、隠すのが大変かもしれない。
「昔っから細くって儚くて、ほんとに女の子みたいだったけど…」
「スザク、」
「僕がずっと側にいて君を守っていたかったんだけど、」
ルルーシュの瞳が切なげに細められた。スザクの声は微かで、それでも伝わっているのだと、絡めた指先の力で分かった。
「きっと、僕も救われてたんだ…、だから、ありがとう」
「簡単に、ありがとうとか言うな。」
まるで終わりを宣告されているみたいだ。ルルーシュは寂しそうに笑って、スザクの好きなキスをくれた。
「ルルーシュ、ひとつになりたい。」
スザクが吐息で伝えた。ルルーシュは頷いて、愛撫を再開してくれる。
「んぁ、、時間、大丈夫かな……」
「最悪会長が来ても、鍵がかかっているから問題はない」
「ぅ…ん…、ふぁ、」
ルルーシュの指がスザクの口に入れられた。唾液を絡ませる度に心音が増す。ルルーシュのスカートが膝辺りを擽るのに、気をとられてしまう。
空いている左手は変わらずスザクの体を滑っていく。軍属によるたくましい体付きを見られるのも抵抗を感じるし、傷痕を舐められるのもいたたまれない。女の子みたいに柔らかくもない体に触れて、ルルーシュは何がいいのだろうか。
「ひぁっ、」
「何を考えていたんだ?」
「やっ、いきなり、入れな…」
「じゃあ全て断りを入れればいいのか?…今から指を曲げるぞ」
「くぅ、ん…」
「スザクが好きなところをたくさん刺激してやるから」
「ルルー、シュ…はぁ、ぁっ、ぁんっ!!」
いきなり指を入れられただけでも衝撃なのに、暴かれきっているスザクの感じる場所をめいっぱいに刺激され、スザクは大きくあえいでしまう。ルルーシュは愛撫の時は確かにジラすような意地悪をするけれど、こんな風に攻められたことは初めてだった。
「もうイったのか、早いな」
「むぅ…、」
「イった後は決まってナカを締め付けるよな。何度俺を受け入れても、変わらない。」
「もうやだ、それ、」
恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだ。口を尖らせルルーシュを見つめると、やっと彼が優しく微笑んでくれた。
「スザク、」
「もう、…ルルーシュ、変態モード?」
「もしもスザクに対して考えていること全部伝えたら、きっとそう思われるだろうな」
「もうけっこう遅いよ。でも、…」
「ん、?」
スザクはルルーシュのスカートに手を入れ、すっかり固くなったソレに手で触れた。そのまま上下に扱いてやると、クチュクチュと卑猥な音が流れた。
「スザク、」
「僕もルルーシュのに、すごく興奮してるから、おあいこ。ね、ナカ、動かして」
「かなわないな」
「ん、ルル……」
ルルーシュが指を動かしやすいように腰を浮かせてルルーシュに寄りかかる。そのままスザクの方からキスをすると、ルルーシュが体制を崩し、スザクが押し倒す形となってしまった。
ちゅ…ちゅく…お互いの舌を絡ませながら、スザクはルルーシュへの愛撫を続ける。いつも自分のナカを埋めてくれる、自分の存在を確かめさせてくれるルルーシュを思うだけで、触れられていない自身も達してしまいそうな程感じる。女の子の格好をしているルルーシュを押し倒している状況も興奮材となっていた。
ゆっくりと唇を離したら、ルルーシュが不服そうな顔でスザクを見上げた。上目使いでひどく色っぽい。
「格好悪いな」
「くす、そうだね。ルルーシュはかわいいんだよ。あ、今は綺麗かな?」
「うれしくない、」
「でも…大好き。」
熱っぽく告げると、ルルーシュに引き寄せられて唇を合わせた。
ナカを掻き乱す指が増やされ、内壁が空気に触れる程後口を拡げられた。もうルルーシュを受け入れるのに十分なほど、何かを求めてソコは収縮を繰り返す。
「ぁ、ルルーシュ、」
「スザク、自分で入れてみて」
「ぅ、ん…くぅ、」
後口にあてがわれたルルーシュを、腰を下ろしてゆっくりと受け入れていく。十分に慣らされたから痛みはない。けれど安定しない腰が震えて、思い通りに入れられないもどかしさがある。
ルルーシュ自身ももう射精寸前で、全体が先走りで濡れていた。スザクの内壁と絡まって、グチュグチュ結合部から音がなった。
「あ、ぁ、ん」
「もうちょっとだ」
「ひぁっ、ぁんっ、くぅ、」
ギチギチとルルーシュを締め付ける入り口にルルーシュが指をくっと押し入れた。穴が拡がる感覚に腰を震わす。ルルーシュの腹にスザク自身の先端を思いきり擦ってしまい、快感が二倍にも三倍にもなるようだった。
「はぁ、…」
「ちゃんと自分で全部飲み込めたな。えらいえらい」
頭を優しく撫でられて、スザクも息を切らしながらルルーシュの頬にキスをした。初めての体位ではなかったけれど、ひとりで根元まで入れたのは初めてだ。いつもルルーシュが途中で痺れを切らして動いてしまうから。それはそれでいいのだけれど。
なんて想像を巡らせていたら、きゅっと内壁を締め付けてしまった。ナカのルルーシュの形が顕著に感じられて赤面してしまう。
「スザク、締め付けすぎ、だ」
「ぁっ、ごめ、なさ、」
「なに?エッチなことでも考えてたか…?今日は俺とのに集中してくれないんだな、」
「違っ、ルルーシュのこと、考えてた、の」
「じゃあ、俺を見ろよ。俺はここにいるから、」
優しい声音がスザクを安心させる。ルルーシュを受け入れている腰をグッと、半ば強引に引き寄せられ、結合が深くなる。
「ふぁっ、ん、ん、ルルーシュぅ、…もう、」
「うん?」
「動いてっ、僕のナカ…掻きまぜてっ、…」
スザクが快感に叫ぶと、我慢の限界だったルルーシュが腰を動かし始めた。内壁を確かめるように摩擦を強めていく。ナカのしこりを重点的に刺激してやると、スザクの腰も自然とルルーシュを導くように動いてしまった。
「ぁんっ、ひぁっ、ん、あぁっ、」
「イっていいぞ」
「あっ、ルル、シュもっ」
「うん」
気持ちいい。スザクのナカはとろとろで、このまま二人溶けてしまいたい。
ルルーシュが立て続け、熱を含んだ声で囁いた。
スザクは驚いた。スザクが思っていたことと、まったく同じことなのだ。そう思ったら、気付いたら達してしまっていた。
「ぁんっ、」
ルルーシュの腹に、白濁の水溜まりが出来た。まだ残滓がぴちゃぴちゃと先端から垂れている。二回目なのに、たくさん出してしまった。羞恥に震えていたら今度は内壁をルルーシュの大量の白濁が叩いた。
「ぁ、ルルーシュ」
「ごめん、ナカに出してしまって」
「ううん、気持ちよかった、から…。僕もこれ…ごめんね。」
ルルーシュのお腹を汚してしまって。
スザクがしゅんとしながらルルーシュの上から退こうとすると、引き寄せられることで阻まれた。結合部からとろとろとルルーシュの精液が流れ、擽ったさを感じる。
「気持ちよかった証拠だろ?いいんだよ」
「ルルーシュ……」
「お風呂でちゃんとかきだして洗ってやるから。」
「うん、ありがとう」
「後で洗ってやるから。絶対、俺がやる」
「くす、うん、ありがとう」
なんだかルルーシュが駄々っ子みたいで面白くて、笑ってしまう。
「スザク、その笑顔、誰にでも向けるなよ」
「へ?」
「いいから!」
「変なルルーシュ。」
でも、照れて赤くなっている顔も、かわいい。
「あと、今日一応会長に頼んでみるが」
「うん?」
「女子の制服。だが、あまり周りに愛想を振り撒くなよ。」
「あっ、ルルーシュ!」
「ん?」
「ルルーシュの服も、汚れちゃったよ、」
スザクはうろたえた。さっき自分が思いきり快感に任せて射精してしまったせいで、ルルーシュの服は最早修復不可能だ。
「あぁ、だから俺は女子の制服は着ないよ」
「えっ、」
まさか、もしかしなくとも。
「始めからそういうつもりだったわけ…?」
「なんのことかな、」
「まったく君にはかなわない。」
スザクがため息をつくと、ルルーシュが声をたてて笑った。その顔は実はすごく格好いい。けど、絶対教えてやらない!
スザクが頬をふくらませたら、優しくキスされた。スザクは目を閉じて、再開される愛撫をうっとりと享受した。
おまけ
「でもルルーシュ、会長にはどうやって言い訳するつもりなの?」
「スザクの護衛だ」
「はぁ?」
「スザクが女子制服を着たら、学園中の人間がスザクを狙うだろう?そういうのを防ぐ仕事が忙しいから、俺は裏方に回るってこと」
「ふぅん…(別に僕なら、狙われてもルルーシュの護衛なんていらないし、しかもルルーシュみたいに襲われる容姿でもないんだけどナ…)」
2007/5/14 終わり