ルルーシュ・ランペルージュは穏やかな午後のひとときを過ごしていた。ゼロとしての活動が活発化しつつある今、学園での生活はルルーシュにとって大切な時間となっている。
「おーい、アーサー?」
ルルーシュは、さっきから飽きもせず机の下に潜り込んだ猫を呼び掛けるスザクを見守っていた。
表向きは会長から頼まれた予算案の最終確認をしているのだが、懸命に猫じゃらしを振り話しかけるスザクが微笑ましく、ついつい目がいってしまう。
「アーサー、にゃー、にゃー、」
か、かわいい…!ルルーシュは口元が自然に緩んでしまった。スザクが纏う空気はさらさらとした水のように清涼で柔らかさを持っている。
今日はリヴァルはバイト、シャーリーは水泳部、ミレイ会長とニーナは買い物と、奇跡に近いスザクと二人きりの状況だ。これでは仕事に集中出来るわけがない。
ルルーシュはパタンと資料を閉じ、机の下に頭をつっこんでいるスザクの肩をたたいた。
「また手を噛まれるぞ」
「でも、仲良くしたいんだ。まだ一度もだっこ出来てない」
口を尖らせるスザクの手から猫じゃらしを取り、ルルーシュも気まぐれに欠伸をしているクロネコを覗きこんだ。
「アーサー、おいで」
猫じゃらしを左右に揺らして呼ぶと、アーサーはルルーシュの方に近付いてきた。顎の下を撫でてやると気持ち良さそうに声を出しながらおとなしくルルーシュの腕の中に収まる。
「にゃー、にゃー、」
「はは、くすぐったいよ」
「ルルーシュ、いいなぁ」
スザクは、どうしてなついてくれないんだろう、と首を傾げている。簡単にアーサーを抱き上げたルルーシュに尊敬と羨望の眼差しを向けた。
「かわいいものだな。ほら、」
ルルーシュは猫じゃらしをスザクに渡し、遊んでやるように促す。スザクも無視されてばかりではさすがに可哀想だ。
「にゃー、アーサー、ほらほら」
スザクは楽しそうに猫じゃらしをアーサーに向けて揺らした。しかし、アーサーは猫じゃらしには目もくれず、近付いたスザクの指に思いきり噛みついた。
「いたぁ…」
半泣きになりながらルルーシュを見るスザクは、可哀想だけど可愛くて、ルルーシュはぷっと吹き出してしまった。
「笑うなんてひどいよルルーシュ。」
「別に馬鹿にしたわけじゃないよ。」
「僕は本当に、片想いばかり。」
大げさにため息をつくスザクは、本当にヘコンでいるようだ。
クロネコは我関せずとルルーシュの腕から滑り降り、遠くへ行ってしまった。
少しからかいすぎたかと反省して、ルルーシュはスザクの手をとった。
「ルルーシュ?」
「案外、片想いじゃないかもしれないぞ」
声を潜めて、スザクの指先をあま噛みする。スザクは最初驚いていたが、その後はルルーシュに笑顔で手を差し出した。
「本当に?」
「ああ。追い詰められた猫も指を噛む。恋情は得てして余裕がないものだろ?」
「慰めてくれてる?」
「どうかな?」
「ルルーシュ、君って器用だけど不器用だよね」
スザクがくすくすと笑った。そのまま腕ごと体を引き寄せ、触れるだけのキスをする。
「久しぶりだよね、」
「二人きり?」
「あ、アーサーがいた」
ルルーシュはスザクの頬を、いつのまにやら手に渡った猫じゃらしでくすぐった。
「あ、くすぐったいょ」
「感じる?」
「まさか、ぁ、」
カーテンの揺れる窓枠に、優しくスザクを押しつけて、今度は深く口付けた。
「ん、ぁ……」
熱を帯びた舌先を強く吸ってやると、甘い吐息が漏れた。先まではかわいらしく微笑んでいた唇が、今度は色を含んで震える。ルルーシュはキスをした後のスザクも大好きだ。もっと気持ちよくさせてあげたい、その表情をみたいと思う。
「感じてるみたいだな」
「意地悪。」
「大丈夫。猫しか見てない」
「アーサーは気まぐれだから、見てない」
スザクの反応を見せた自身を優しく愛撫してやる。スザクは自分から猫を気にした素ぶりを見せたというのに、ルルーシュが言うのは気に入らないのか、妖艶に無邪気を装い、ルルーシュの首筋に噛みついた。スザクはよくルルーシュを猫のようだと言うけれど、スザクもけっこう猫に似ている。
そう思ったら、いいことを思い付いた。ルルーシュはスザクのズボンのチャックを開ける。重力に従ってズボンはストンと落ちた。
下着も一緒に、足の途中まで下ろしてやる。
「ぁっ、」
スザクは急に空気に晒されたことに戸惑い、足をすり合わせた。
「ここで全部脱ぐの?」
「いやか?」
聞きながら制服の上着を脱がし、シャツのボタンを外していく。スザクも自ら下から外ししてくれる。
「いいけど…」
「カーテンがあるから見えないよ」
「ぁっ、」
露になっていく白い肌に興奮を覚え、筋肉のついた腕に猫じゃらしをあてた。
「ルルーシュ?」
「にゃー?」
「もう、またその遊び?」
スザクがくすっと笑う。そのまま猫じゃらしは腕を滑り、鎖骨へ行き、顎を遊ばせてから、控え目に立ち上がった胸の突起へ到着した。
「くすぐったい、てば」
「くすぐったいだけ?」
囁くように問うと、スザクは眉根を寄せて頷いた。
ぷくんとかわいらしい乳首を、猫じゃらしで何度もゆるやかな刺激を与えてやる。次第に焦れてきたのか、スザクはルルーシュの空いている腕を胸元に引き寄せた。
それをきっかけに指で直接突起を愛撫してやる。
「はぁっ、ん」
「スザク、かわいい」
トントンと叩くように指先で触れ、時々強くつねるようにすると、スザクは愛らしく体を震わせた。
「くぅ、ん」
片方を口に含み、舌で転がすと、高い声が鼻から抜けた。さっきから外気に触れたままのスザク自身がぴくんと震え、そこは先走りですっかり濡れていた。
「はぁっ、ゃ、ゃあ、ルルー…シュ」
その先端を空いた手に持つ猫じゃらしでつついてやると、性感体を一気に攻められたスザクは、ますます乱れていく。
「や、早く……」
イきたいのにイけないもどかしい刺激に、スザクはルルーシュを抱き寄せていた腕を自身に移動させていく。
「自分で?」
「ルルーシュ、楽しんでるでしょ、ぁ、ん」
そのまま濡れそぼった自身に指を絡める。先端にあてられている猫じゃらしも一緒に、チュクチュクと音がなる程に手淫にふけった。目の前で恋人のそんな行為を見て、煽られないわけがない。少々遊びが過ぎたか、と反省して、スザクの唇に吸い付いた。
「ん、ぁ、」
クチュ、クチュ、キスにも感じるのか、スザクの手の動きが早まった。一際高く哭いたかと思うと、震える先端から快感の証が勢いよく発せられた。スザクの両腕が力をなくして、ぽとん、と猫じゃらしが床に落ちた。
「はぁ、ん……」
よく出来ました、という意味をこめて上顎をぺろりと舐めてやる。そのまま引き寄せて、薄く色付き始めているだろう蕾を指でノックした。
「ぁ、ん」
「すごい締め付けだな」
つぷ、と慎ましいそこに指を挿入する。柔らかな双丘をあやすように揉みながら、ルルーシュは自身を受け入れる器官の変化を楽しんだ。スザクの精液を塗り込むように、奥へ奥へと指を増やしていく。
「っぁん、ひぁ、ふぁ……」
何度もルルーシュを呑み込んだことのあるソコが物足りなそうに収縮を始めるのに時間はかからなかった。もうスザクを傷つけることはないだろうと、ルルーシュはスザクの体を支え、腰を落として堅くなった自身を入り口へとあてがった。スザクの体がぴくんと反応する。
「ぇ…このまま?」
「今日は立ったまま。」
有無を言わさずぐっと腰を進めた。先端を埋め込むには強引さがないと、後にも先にも進めない。ルルーシュは圧迫感に耐えるスザクを特等席で眺めながら、睫に浮かんだ涙を舐めてやった。
「ぁ、ぁんっ、はぁんっ、ルルー、シュっ、」
「どうした?」
「いつもと、違…ゃっ…んんっ」
体位が違うせいでルルーシュが内壁の違うところを進んでいるらしい。いつもは全て入ってからゆっくりと攻めるのだが、今回は侵入途中で前立腺を思いきり擦ってしまう位置にある。強すぎる快感にスザクは涙を流しあえいだ。ルルーシュもスザクの締め付けに感じながら、スザクの体を引き寄せ腰を進める。慣れるまで待つと、スザクは辛いほどイってしまうだろう。そう判断して、最初から激しく抜き刺しを始めた。
「ひぁっ、ぁ、あ、ぁんっっ…」
「スザク…スザク、」
柔らかな髪を撫でながら、スザクのナカを思いきり擦ってやる。ルルーシュの自身からも先走りが滲みだし、内部の滑りがよくなるにつれて、グチュグチュと卑猥な音があふれだす。
「ぁ、ルルー、ゃん、ソコばっか…ぁあっ、あぁーっ!」
「くっ…、」
前立腺を何度も擦ると、スザクはあっけなく先端から精液を出した。射精後の締め付けに、ルルーシュもスザクのナカにたまった精液をはきだす。
「、ルルーシュ」
「うん?」
スザクはイったばかりの敏感な体を、恥ずかしそうにルルーシュにすりよせた。
「どうした、スザク?」
「もっと、奥も擦って?」
この体位も好きだケド…とかわいらしく首を傾げる。ルルーシュは誘われるように、スザクを床に押し倒した。
「じゃあ、後ろを向いて」
「入れたまま?」
「そうだよ」
「ぅ…ん、ぁん…」
スザクがゆっくりとルルーシュに背中を向けていく。汗ばんだうなじにキスを落とすと、ルルーシュ自身は早くも成長を見せていた。
一番深くまで届くよう、バックから攻めてあげようと思った。ちょうど獣のような体制で、気まぐれ猫を征服しているような気分になる。
「はぁん…気持ち…い…」
「スザク、好きだよ…」
「ぅン、ルルーシュは…気持ち、い?」
あえぎながら、ほとんど吐息で会話する。ルルーシュはスザクとの結合を深めたり、スザクのナカの感触を楽しみながら、彼の尻を広げるように撫でた。
「気持ちいいよ、スザク。スザクのナカ、すごく熱い。ぎゅうぎゅうって俺のこと締め付けてくる」
「ふぁ…ん、ルルーシュ、もっと、動いて…」
スザクの求めるような腰の動きに、さらに自身が大きくなった。スザクの上に重なって、耳たぶをあまがみしながら腰の動きを早めた。
「ぁーっ、ぁっ、あっ、ひぁんっ、」
「スザク、イって」
「はぁん、触って、触って、…」
「スザク…スザク、」
お望み通り、スザク自身も激しく擦ってやる。後ろと前、同時に攻められて、スザクは涙を流しながらよがった。すっかり薄くなった液体を先端かははきだすと、ルルーシュもスザクのナカへ二度めの白濁を注ぎこんでいた。
「ルルーシュ、」
「ん、スザク」
ちゅ、とかわいらしいキスを頬にされた。下腹にけだるい感覚が走る。ルルーシュは起き上がり、スザクを膝上にして座った。
「もっとしたい」
「ヨかった?」
「足りないよ」
スザクは頬を膨らませた。結合部からはルルーシュが出した精液がとろりと溢れる。
「ほんと、体力馬鹿」
「むぅ、」
両頬を優しくつねり、唇に触れるだけのキスを落とす。後ろを向いてのキスがしにくかったのか、いつのまにかスザクの体はこちらを向いていた。
クチュクチュと、飲み込みきれない唾液がスザクの喉を伝った。結合したままの腰を揺らすと、こちらも淫音を立てて精液を漏らしている。
カーテンの外の暗闇に気付くのは、もう少し先になりそうだ。
2004/4/6
終