スザクは一人、屋上で校庭に咲く桜を見ていた。薄ピンク色のそれは、雪のように儚く、無情な風に吹き飛ばされる。それを悲しい、と思うか、綺麗だ、と思うのかは、そのときの気持ちや境遇の違いによるのかもしれない。
屋上の柵は寄りかかるとガタガタと音を立てた。歴史のあるここアシュフォード学園は、外観は豪華で周囲からは一目置かれているが、内実は政治不審の影響もあってか、生徒たちの心にも校舎自体にも歪みが生じているように感じる。
僕が偉そうに言える立場じゃあないんだけど…。
スザクはため息をつき、悪意を現す言葉がうっすら残る体操服を両手に広げた。
何も油性ペンで書くことないのに。
一生懸命に洗ったが、完璧に落とすことは出来なかった。生徒会に入ってからは、あまりこういった行為を受けることはなくなったのだが、久々に受けた真っ直ぐな悪意は、思いの外スザクの胸を傷つけた。
頭に霞めたのは、七年越しに再会を果たした幼馴染みの顔であった。
ルルーシュ、どこにいるんだろう。
彼に慰めてもらいたい。頭を撫でて、抱き締めてもらいたい。そこまでしなくたって、ただ会話を交わすだけでも大分、この沈んだ気分も楽になるのではないか。
スザクは自分の弱さを自覚していた。そしてそれがどんなに愚かであるかも。スザクの過去を知ってもなお、自分に変わらず接してくれるルルーシュがたまらなく愛しくて、たとえルルーシュのその優しさを利用することになってしまっても、彼と一緒にいたいと思うのだった。
放課後にルルーシュは大抵生徒会室にいる。屋上から下をずっと眺めていたが、校舎からルルーシュが出てきた様子は無かったし、きっとそこにいるのだろう。スザクはもやもやとした感情を持ったまま、生徒会室に向かった。
「失礼します。…、ルルーシュ!」
緊張しながら生徒会室のドアを開けると、書類を手にして思案顔のルルーシュがいた。他のメンバーはどうやらいないらしい。嬉しくて小走りで彼に近付く。
「何をやっているの?」
「ああ、スザクか。いや、会長に仕事を頼まれて。」
「それで、会長とか他の人たちは?」
「みんな何かしら用事があるらしい。全く、いつも雑用を押し付けるんだから。」
「手伝うよ。」
文句をいいながらも、真面目に作業するのは、責任感のあるルルーシュらしい。スザクは苦笑いをしながらルルーシュの隣に座った。するとルルーシュは、スザクが持っている体操着に目をとめた。
「スザク、もしかして、また」
「あ、」
その時初めて洗った体操服をそのまま持ってきていたことに気付いた。ほぼ乾いていたのだからしまってから来ればよかったのだが、ルルーシュに会いたいと思ったら周りが見えなくなっていたらしい。
「スザク、誰にやられた?」
ルルーシュの強めの声にピクンと肩を震わせてしまう。
「わからない、よ…。」
スザクが答えると、ルルーシュは悔しそうに拳を握りしめる。
「ごめんな、スザク。たとえアシュフォードでも、こうした差別があるんだ。プライドばかりの驕った連中が」
「ルルーシュ、そんなこと言わないで。ここはいい生徒たちばかりだよ。僕はずいぶんよくしてもらっている。感謝してるよ。」
「でも、たとえ一握りでも、スザクを傷つける人間がいるっていうのが、俺は気に入らないんだ。」
ルルーシュの率直な台詞はいつもスザクの心を軽くしてくれる。どうして人を傷付けるようなことをするのか。スザクには到底理解出来ない。スザクは他人を傷付けたとき、自分自身をも傷付けるということを、経験上知りすぎていた。その事実の上では、人種や思想など、スザクの中では何の問題もなさないのだ。
「ルルーシュ、確かに僕は傷付いてる」
「スザク、」
「悪意を突き付けられるのは、正直一番苦手なんだ」
スザクは控え目にルルーシュの肩口に頭をのせた。目を瞑ると、ルルーシュの吐息がいっそう近くに感じる。
「僕はそれが嫌で、いつもお利口な僕を演じてるのかもしれない」
言われもない不条理を受けて、傷付いて、ぐるぐると悩んでしまう。このループから逃れることは出来なくて、でもスザクは見つけることが出来た。
疲れたときに安らげる宿り木、家のようなもの。
そう、あのとき、あれから、もう二度と手に入れることは出来ないと諦めていた、ルルーシュ、君という存在を。
「スザク」
労るように、だけど遠慮のない声は七年前と変わっていない。ルルーシュは名前を呼ぶと同時にスザクの体をさらに引き寄せた。
「スザク、お前は綺麗だよ。今も、昔も」
スザクの柔らかいくせ毛を優しく何度も撫でてくれた。
スザクは嬉しくて、甘えるようにルルーシュに横から抱きついた。
「ん……ふ…」
すぐに、体を抱き寄せられてルルーシュにキスをされる。思いやりの溢れる温かな口付けに心が穏やかになる。
ゆっくりと瞳を閉じ、何度も唇に触れた。合わせ目からじれったい感覚が生まれてくる。スザクはルルーシュの首に手を回し、さらにキスを求めた。ルルーシュの方もスザクの腰を抱え、スザクを膝上に慣れた様子で抱き上げる。
「、はぁ…」
「元気、出た?」
すっかり息が上がってしまったスザクは、羞恥を感じながらも笑顔でルルーシュに頷いた。そうして舌を出し、ルルーシュの閉じられた唇を遠慮がちに舐める。
「まだ欲しい?」
「うん……」
ルルーシュの優しく、甘い声にうっとりしながら、スザクは素直に首を振る。ルルーシュも笑みを浮かべて、スザクの求める深い口付けを与えてくれた。
「んっ、ん、ふ……」
唇を強く吸われ、上顎に舌が侵入してくる。性急さはなく、ルルーシュはいつも通りに、上品さまで感じるほど、丁寧にスザクの歯列をなぞる。それから奥で行儀良く待っていたスザクの舌を捉え、そっと絡めとる。互いの唾液を交換するように、水音が立つほどになると、背中を快感が通り抜け、腰を震わせてしまう。
「ふぁ…、ん、ぁ、ルルー、シュ、」
「どうした?」
すっかり体に熱が集まってしまい、ズボンがキツくなってしまった。スザクはそれを伝えるために、ルルーシュの腰に自身を擦り付けた。
「感じた?」
「ぅん、…」
じっとルルーシュの紫色の瞳を見つめる。ちょっと困ったように細められている。このままここで、というわけにはいかないのかな、とスザクはしゅんとしてしまった。
「ごめ、ん。仕事あるもんね。僕は何をすれば、」
自分も手伝うと言ってたのだから、あまり役には立たないだろうがルルーシュを手伝おうと、彼の膝から立ち上がろうとしたら、ルルーシュによってそれは阻まれた。
「こんなにして、いいのか?」
きゅ、とズボンの上から自身を掴まれて、スザクの腰はピクンと震えた。
「ルルーシュ……」
「もう、そんな目で見るなよ、」
抑えが効かなくなる…と甘く耳元で囁かれ、潤んだ瞳にキスを落とされた。
「どうして欲しい?」
「ん…ふぁ……、ぁ」
掌でゆるゆると、熱を帯びたソコを撫でられ、スザクは理性を失っていってしまう。
「ぁんっ、ぁ、ルルー、触って?」
「触っているよ?」
「んっ、…ちがくって、はぅんっ…」
何度ももどかしい刺激を与えられて、射精感が追い立てられていく。いよいよスザクは我慢出来なくなって、ルルーシュの耳元に吐息混じりに懇願した。
「ぁ、直に…触って?」
顔を真っ赤にしながら涙目で言うと、ルルーシュはやっと納得してくれたようで、スザクのズボンと下着を下ろしてくれた。
人の気持ちに聡いルルーシュのことだから、絶対にスザクがどうして欲しいかなんて、分かってるくせに。ルルーシュはいつもスザクをジラすようなことをする。それによってスザクの快感も強まるのだから、まぁいいのだけれど。
「はぁ、ん。ルルーシュ…」
外気に触れてスザク自身はすっかり上を向いていた。ルルーシュはそれを優しく包みこみ、既に先走りで濡れている先端から根本まで指先を走らせた。
「くぅ…ん、」
「昨日もシたのに、もうこんなに濡れているんだな」
「はぅ、だって、」
「だって?」
「ひぁ、ふぁ、気持ちいぃんだも、ん」
「はは、淫乱だな、」
含みを持たせて言われて、その声にまで感じてしまうのだから、救いようがない。スザクは膝立ちになり激しさをますルルーシュの手に腰を振った。
「ぁん、はぁ、ん……ルルー…シュ、んっ、」
「いいぞ、イって」
「ふぁっ、んっ、」
ルルーシュの声と、先端を重点的に刺激されたことによってスザクは射精してしまった。
「はぁ、ぁ、」
「大丈夫か?」
射精後の倦怠感に肩で息をしていたら、ルルーシュが心配してくれた。それが嬉しくて、スザクはぎゅっとルルーシュに抱きつく。
「スザク、制服が汚れる、」
「あ、ごめ、んっ、」
あわてて離れようとしたら、丸出しになっていた性器がルルーシュのシャツに擦れて感じてしまった。
「別にもういいけどな。ほら、おいで」
「うんっ」
恥ずかしさと嬉しさが内混ぜになりながら、スザクはルルーシュに再び抱きついた。頬をすりよせ、ルルーシュの暖かい腕の中で幸せに酔いしれる。
「ルルーシュ、好き。大好きだよ。」
「俺もだよ、スザク。」
今度はスザクからちゅっとルルーシュにキスをした。ルルーシュは照れたように笑い、スザクを抱き寄せ、露になっている双丘に揉んだ。
「はぁ、ん…」
「ここで最後までシていいのか?」
「ぅん…ルルーシュが、いいなら…」
「すべすべしていて、ほんとに可愛いお尻だよな。」
「ぁんっ、ルルーシュのシャツ…汚しちゃうよ…」
「またこんなに溢れさせて…いいよ、いっぱい擦りつけて」
ルルーシュと何度もフレンチキスをしながら、吐息で会話をする。スザクを落ち着けるような声音にうっとりしていると、揉みしだかれてひくつき始めていた蕾に、細い指が突き刺された。
「くぅ、ん…ルルーシュ…」
先程達したときのスザクの精液で濡れされていたので、痛みはない。クチュクチュと卑猥な音が生徒会室に響いた。
「はぁ、んっ」
ルルーシュがスザクの後ろを熱心に慣らしていると、スザクは快感に酔いしれながらも下に座るルルーシュのズボンのチャックに手をかけた。
「んっ、無理しなくていいぞ、スザク」
「ううん、早くルルーシュの…欲しいから」
ルルーシュ自身を下着から取り出すと、もう準備を必要ないくらいに上を向き、先走りで濡れていた。それにスザクは嬉しくなり、ルルーシュへの愛しさが増した。
両手でルルーシュを上下にしごく。今からこれが自分のナカに入るのだと思うと、下腹部がズクンと反応してしまう。
後口を慣らすための指も三本に増やされ、もっと太い何かを求めて収縮を繰り返している。
「はぁ、ん、ルル、もう…」
「このまま、いいか?」
「ぅ、ん」
スザクは震える体をルルーシュの肩を掴んでなんとか支えて、ヒクつく蕾にルルーシュの猛りを呑み込ませるために腰を下ろしていく。ルルーシュはスザクの双丘を両手で開き、入りやすいように助けてくれた。
「ゃ、ふぁ、ん…」
太い先端がやっと入ると、全て呑み込むのは容易かった。内壁を擦られる感覚に感じてしまってルルーシュを締め付けてしまう。
「ぁん…あったかい…」
「スザク、好きだよ。」
「はぁっ、僕も…」
じわじわと体の奥から熱いものが込み上げてくる。口付けを交し、ナカにあるルルーシュがドクン、と脈打つと同時に、下から激しい突き上げが始まった。
「あっ、ン!はぁっ、ぁ、あんっ、ふぁっ、ン、ルルー、シュっ、」
「スザクっ、ナカ、そんなに締め付けなくても、っ、俺は逃げないよ、」
「ひぁーっ!!ぁン、んんっ、ルル、シュ、もっと、もっと奥っ、ぁあぁンっ!!ぁーっ、」
内壁をえぐるように激しく攻められ、スザクは思いきりあえいだ。大好きなルルーシュに、気持ちのイイところを全て暴かれ、熱い楔で何度もうがたれる。その幸福に、スザクは気を失ってしまうかもしれない程感じ入ってしまった。
「ぁんっ、ルルーシュ、ルルーシュっ…!」
「スザク、」
ルルーシュは腰を突き上げながら、スザクの自身も同時に擦ってやった。スザクが好きな先端と、双球も絞るように揉んでやる。
「ぁーっ、ルル、シュ、ルルっ、ひぁっン、イく、イっちゃ、よっ…!」
「いいよ、スザク、イって?」
「あンっ、ゃ…一緒に…」
「うん…っ…一緒にイこう?」
「ひぁーっ!ぁン!ひゃっぁ…ぁあぁぁあっ」
自身を強く刺激してやると、スザクは一際高い声で哭いて、たくさんの白濁を先端から吐き出した。それと同時にルルーシュも、スザクの熱い内壁に大量の精液を吐き出した。
「はぁ、はぁ…」
「大丈夫か?スザク」
スザクのあえぎ声は腰に来るが、まるでほんとに泣いているようで心配になってしまう。ルルーシュはそう言ってスザクの頬を伝う涙を舐めた。
「大丈夫だ、よ。心配してくれてありがとう。」
ルルーシュの気遣いがとても嬉しくて、スザクは自然と笑顔になった。まだ繋がったままの箇所が、きゅ、と締まる。ルルーシュのカタチを再び感じてしまう。
「ね、ルルーシュ?」
「もう一回?」
「…ルルーシュがイヤならいいけど」
口を尖らしすねたら、断れるわけないだろと頭を撫でられた。
「スザク、いつからこんなに好きになっちゃったんだ?」
「ルルーシュのこと?ずっと前からだよ?」
「違うよ、これ。」
「ぁンっ、」
今度はルルーシュは立ち上がり体制を変え、スザクを机に押し倒した。スザクの両足は大きく開かれ、スザクからも結合部がはっきりと見える。ジュクジュクと入り口を擦られ、スザク自身はまた首をもたげ始めてしまった。
「だって…これはルルーシュが好きだから、好きなんだよ?」
「ふふ、わかってるよ。」
ルルーシュはふわりと笑って首筋にキスをしてくれた。チクリと痛んだから、痕が残るかもしれない。
「ね、ルルーシュは?」
「うん?」
「ルルーシュは…僕の…好き?」
ピクンとスザクのナカのルルーシュが反応した。スザクの言葉に感じたのだろうか。だといいのだけれど、とスザクは思う。
「大好きだよ。さっきイったばかりなのにもうこんなに濡れちゃってる、エッチで可愛いスザクのココ…」
きゅっとスザク自身を掴まれ、耳たぶを甘噛みされた。それから腰をゆるやかに動かされ、結合部に指で触れられる。
「それにココも。俺を呑み込んで、エッチな音をグチュグチュさせてるココも、ずっと俺を埋めていてあげたい…」
「ぁン…ルルーシュ…好きだよ。ずっとこうしてたいよ…」
「好きだ…スザク。もう離さないよ。」
また律動が開始された。内壁を何度も何度も摩擦し、ルルーシュの出した精液が白く泡立つ。
「あ…ルルーシュ、もっと、激しく…動いて…いいょ?」
「スザクのナカ、温かくて…気持ちいい…から、もう少し…」
「ルル、シュ、好き、大好き…」
「スザク、」
二人は唇からも繋がり、スザクの自身は密着した二人の体に挟まれ刺激された。舌先をルルーシュに強く吸われ、収縮したナカによって、二人は互いに穏やかな二度目の絶頂を向かえた。
「ぁっ、…ルルーシュの…いっぱい出たね」
「もうしばらくこのまま…」
「うん…いいよ…ルルーシュ、ありがとね」
元気が出た…スザクはふわりと笑ってルルーシュにきゅっとしがみついた。ルルーシュもスザクの上に乗ったまま、スザクの頭を撫でてやる。
幸福感と心地好い疲労感に、二人は目を閉じた。
窓の外はすっかり暗くなっていた。
2007/4/4
終