チョコレート・キス

「おはよう、ルルーシュ」

目が覚めてすぐに、ルルーシュに声をかけた。2月が一番気温の低い時期らしいが、冬至を過ぎるとなんとなく暖かく感じるから不思議だ。
とは言っても、カーテンの開いた窓からは冷たい空気を感じ、スザクはルルーシュに抱きついた。

「おはよう、スザク」
「あれ、ちゃんと起きてる」

昨夜はそのまま、ルルーシュの部屋のベッドで一緒に眠ってしまっていた。朝の弱いルルーシュを起こす密かな楽しみがなくなって、少し残念だ。
きゅっと腕に力を込めると、暖かい体温に包まれる。寝ているルルーシュも西洋人形みたいで綺麗だけど、こうやって抱き返してくれる方がやっぱり好きだ。

「まだこんな時間か…寒かったのか?」
「うん…でももう大丈夫…て、むぐ?」

ルルーシュと抱き合いながら再びうとうととしていたら、口に何かを押し込まれた。次の瞬間、甘い香りが口内に広がる。

「チョコレート?」
「そ。今日はバレンタインだろ?」
「ああ、そうか」

もぐもぐと濃厚な甘みを味わいながら、スザクは頷いた。日本とは違い、元々は男女問わずプレゼントを渡す慣習だと聞いたことがある。

「美味いか?」
「うん、美味しいよ。ありがとうルルーシュ」

嬉しくてルルーシュの唇にキスをする。舌を甘えるように絡めると、丁寧に答えてくれた。

「ん、……ふぁ」

几帳面なルルーシュらしい、口内の隅々まで丁寧に味わわれるキスに、スザクは甘い吐息を漏らす。ルルーシュが好きだという気持ちがじわじわと溢れてきて、胸元を引き寄せた。

「美味しい?」
「甘いな」

ルルーシュが声をひそめて言う。キスの感想なのか、チョコレートの感想なのか、はっきりとは分からない。
まぁ、どちらでもいいか…。
スザクはぼんやりとした頭で、二度目のキスをルルーシュにねだった。すると、指を唇にあてられ、やんわりと拒絶される。

「これ以上やると、抑えが効かなくなる」
「……むぅ」

あんなに甘いチョコレートを与えておいて、ひどいことを言う。スザクはちょっと悔しくなって、唇に押し当てられたその指を舌で触れた。

「っ、スザク。やめろ」
「やーだ。」

焦るルルーシュを見るのが楽しくなって、スザクは更に舌を絡める。
ルルーシュの指先を丁寧に味わっていると、ルルーシュは呆れたのか、諦めてくれたのか、スザクをぎゅっと抱き締めた。

「ん、…ふぁ?」

パジャマのズボンの中に、後ろから手が侵入してきて、昨晩の余韻を残したソコに指先を挿入される。

「ちょっと待って、ルルーシュ…!」
「やー、だ。お前が可愛いのが悪い」

スザクが反射的にルルーシュの指を舐めるのをやめたら、自由になったそちらの手まで後ろに周り、後口を拡げるように挿入されてしまった。

「ぁっ、ん、ゃあ…」
「痛くはないだろ?」
「う、ん…」

昨日もルルーシュを受け入れていたし、さっきルルーシュの指もたくさん濡らしたから。でも別に、入れて欲しかったわけじゃない。

「ゃ、だ、ルルーシュ」

中の気持ちいい所をちょっとずつ引っ掛かれて、スザクは泣きそうになる。

入れて欲しかったのは、指じゃないってことなんだけど、やっぱりルルーシュはわかってないなぁ、なんて心の内に不満を上げる。
次に欲しいものをくれるっていう保証はないのだ、特に最近のルルーシュは。

「…っ、あ!」

固くなったルルーシュ自身が、そこに宛てがわれた。
いつもより早いそれに、腰がズクンと揺れる。
まさかもうくれるとは思っていなくて、驚いてしまう。

「あ、ぁ、…くぅ、ん」
「さすがにキツいな、…大丈夫か?スザク?」

こめかみにキスをしながら、下から侵入してくるルルーシュを震えながら受け入れる。
確かにキツいけど、押し広げられる感覚も快感だった。

「ぁ、ん、あぅ…」
「可愛い、スザク…」

変な声出た…と自分で口を手で抑えたら、その手をルルーシュの首に回される。
体制が崩れて腰から力が抜け、ルルーシュを奥深くまで呑み込んでしまった。

「は、ぁ…、ルルーシュ」
「うん?」
「なんで、今日は」
「ジラさなかったかって?」

ルルーシュが体を少し動かす。中の感じる部分からじわじわと快感が生まれて、スザクは声をあげるのを我慢しながらルルーシュに頷いた。
ルルーシュは楽しそうに笑い、スザクの頬にキスをする。

「だって、時間ないだろ?」
「そ、れだけ?」

スザクは呆気に取られる。スザクの中に早く入りたいとか、そういう感慨は無いのかこの皇子は!
むぅ、っと膨れると、ルルーシュが体をずらして、スザクは押し倒される形となった。

「意外にまだ時間あるし、これからたっぷりジラしてやるよ」
「い・ら・な・い」

不機嫌な声をあげたら、ルルーシュは不思議そうに首を傾げ、それからスザクの耳たぶを甘噛みした。

「それに、スザクの中に長く居たいしな?」

ルルーシュって、頭はいいんだけど、ちょっとずれてる。
けど、そんな一言に簡単に浮上してしまったスザクは、ルルーシュの唇に甘く噛みついたのだった。



2008/2/14 終わり
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