新年明けました

年末年始のテレビ番組は退屈なものが多い。芸の無い芸人たちが低俗な話題で盛り上がるバラエティ番組や、陳腐な内容のお涙頂戴ドラマなど。ルルーシュは全く興味が沸かないで、自室のパソコン画面に向かっていた。

「ぐすっ」
「うん?」

横でソファに寝転がりながらテレビを見ていたスザクの変化に目を向けると、潤んだ瞳が熱心に画面を見つめていた。

「スザク、泣いているのか?」
「うう…」

テレビ画面に目を向けると、病気の少女のドキュメンタリー番組が流れていた。不遇な状況にあれど懸命に生きる少女の姿が描かれている。この時期によくある番組だ。ルルーシュがスザクに聞いた瞬間、スザクの頬をぽろぼろと涙が伝った。

「くすっ、馬鹿だなぁ」
「ひどい、ルルーシュっ」

流れ出してしまうと止まらないのか、目を擦ろうとするので、ルルーシュはパソコンを閉じて、ソファの上のスザクに跨った。優しく頬を伝う涙を拭ってやる。

「重いんだけど?」
「今日は珍しくゆっくりしてるんだな」

あまり寝る時以外にソファやベッドに寝転がりのんびりしているスザクを見たことがない。軍の仕事と学校を両立するのは大変なのに、忙しい中でも柔らかな雰囲気を崩さないスザクがルルーシュは好きだった。
きっと、こんな風にのんびり過ごすのが彼に合っているのだと思う。そして、めったに無いその休みをルルーシュと一緒に過ごしてくれるということに幸せを感じる。
体を倒し、こめかみにキスをしてやると少しは機嫌が直ったのか、スザクは猫の様な声を漏らした。

「ルルーシュ、終わったの?」
「何が?」
「パソコンを真剣に見てたから。仕事か何かだと思った」
「ああ。別に、ニュースを見てただけだから」
「ふうん」

スザクがじっとこちらを見上げていた。まだ涙がたまっていて、とても扇情的だ。ルルーシュはぐっと息を呑んで、かわいらしい唇に触れるだけのキスを落とした。

「ん、……」
「可愛い、スザク……」

まだテレビのスピーカーからは、悲痛な少女の話題が展開されているというのに、ルルーシュは人の本質の冷たさを自覚した。結局は皆、自分と自分の周りのことしか考えていないのだ。テレビから写し出される不幸や涙が、持続した悲しみを生むことはない。
この腕の中の優しい恋人はどうだろうか?少し不安になったが、首に腕が周り引き寄せられたことで、ふっと軽くなった心とともに腰先を密着させた。

「ぁ、……」
「そういえば、今年最初だな」

するの、と耳たぶを甘噛みしながら囁くと、目元を赤くして顔を伏せられた。意地らしい態度が可愛くて、そのまま後ろから抱きこめてやる。

「ひぁっ」
「もう濡れてる」

わざと音を立てて、自身に触れてやると、狭いソファの上で身をよじらせて耳を塞ぐ。それでも間近で囁くルルーシュの声は聞こえるみたいで、いやいやと首を振った。

「一度イって。」
「やっ、」

じわじわと追い詰めるように先端を刺激してやると、一際高い声が漏れた。ぴくぴくと下肢が反応したかと思うと、少量の白濁が吐き出される。感じやすい体が愛しくて、ルルーシュがいっそう強くスザクを抱き締めると、泣きそうな声が聞こえた。

「ルルーシュのばか…」
「よくなかった?」
「…、また下着着たまま…」
「ああ、ごめん。ソファ汚すよりはいいかなって。」

ルルーシュが素直に謝ると、スザクがやっと後ろを振り返ってくれた。まだ面白くはないようで、ルルーシュの頬を軽くつねる。

「ん?」
「こんなとこでするからだろっ」

正論だが、熱っぽい瞳で誘ってきたのはそっちだ。全く迫力の無い抗議だったが、ルルーシュも少し怒った振りをして、スザクの唇に指で触れる。

「じゃあもうやめる?」
「えっ、」

いつもだったらここでベッドにまで移動する提案をするのだが、わざと意地悪な言動をする。快楽に弱いスザクは、一度高められた体で素直にやめるとは言えないだろう。

「、……」

あ、焦ってる。視線を泳がすスザクに、気付かない振りを続け、パンツに手をかける。

「えっ、」
「下、気持ち悪いだろ?洗っておくよ。」
「ルルーシュっ?」
「ごめんな?無理矢理やって」 ちゅ、と頬にキスをして、殊勝な態度を取ると、スザクはあっけなく口を開いた。

「ルルーシュ、ごめんなさい」
「え?」

もう少し。ルルーシュは分からない振りを続けて、スザクの下肢を纏う衣服を全て奪ってしまう。寒いのか恥ずかしいのか、セーターで腰の部分を隠しながら、スザクはすがるようにこちらを見た。

「怒ってる?」
「怒ってないよ」

起き上がろうとしたルルーシュにぎゅっと抱きつく。

「僕のこと、嫌いになった?」
「そんなわけないだろ?」

本当に馬鹿だな…。ルルーシュはふっと笑って、スザクに顔を近付けた。

「スザクが好きで、大切だからこそ、嫌がることはしたくないんだよ」
「ゃ、じゃない……」
「うん?」
「やじゃないから、」

緑色の瞳が揺れた。ルルーシュはいじめすぎたかな、と反省しつつ、間近のスザクの唇に噛みつく。小さく哭くスザクをそのまま押し倒し、セーターを胸の上まで捲りあげた。

「ぁ、、ん……」
「スザクのここ、可愛いらしくとがってるよ?」

露になった胸の突起を口に含み、舌で転がす。感じることに慣れた体はすぐに反応を見せ、ぴくぴくと震えた。熱を持ったソコはわざと触れないで、奥のすぼまりを指でノックする。

「ぁ、……」
「ココ、シていい?」

ルルーシュが問うと、スザクは顔を真っ赤にしながら頷いた。

「うん……ちゃんとシて。……ルルーシュが欲しいから」
「くすっ、よく出来ました」

ご褒美と言わんばかりに、人指し指を挿入した。先走りで濡れていた入り口は、つぷんと音を立てて行儀良く指を呑み込む。スザクは多少の窮屈さに眉をひそめながらも、先を促すように腰を浮かせルルーシュの体を抱き寄せた。

「ここ、スザク好きだよな」
「ひぁっ、ぁん、ルルーシュ、はやく……」
「だめ。ちゃんと慣らさないと。スザクが辛いだろ?」

ジラしたせいか、すっかり素直になったスザクに目眩を覚えながら、平静を装い乳首を吸ってやる。それから指で襞のひとつひとつを伸ばすように丁寧に後口を拡げていく。

「あっ、ぁっ、く……っん」
「恐くないよ、大丈夫大丈夫。いい子いい子…」

緊張した体に、時折前を刺激してやりながら、受け入れる体制を作っていく。ルルーシュを覚えているスザクのソコは、すぐに反応を示し始め、淫らに収縮しだした。指が三本ほど入るくらいには拡がった頃に、既に限界が近い自身をソコにあてがった。

「ルルーシュ、はやく、」
「ちゃんとあげるから。安心して…」

くぷ、と待ちきれないスザクの先端から先走りが溢れた。両手で入り口を拡げながら、ゆっくりと自身を挿入していく。やはり入り口からすごい締め付けで、ルルーシュは気を抜くと達してしまう程の快感を塞き止めながら、丁寧に腰を進めていった。スザクの内部全てに触れ感じるように。

「ぁ、あっ、ん」
「スザク?」
「擦れてて、気持ちい、よ……」

愉悦に浸るスザクに喜びを感じながら、キスを送る。熱い舌先を絡めとると、熱烈に歓迎してくれた。

「ん……ルルーシュ、好き……」
「こんなに意地悪なのに?」
「好き……」

きゅっと、スザクの内壁はルルーシュを締め付けて放さない。体全体で愛を伝えられているようで、ソコから快感が生まれた。再奥まで埋め込まれたスザクは、息も耐えだえにルルーシュへ手を伸ばす。
ルルーシュがうっとりとスザクに引き寄せられると、

「んむ?」

あくまで優しくだが、両頬をつねられた。意趣返しに怯んでいたら、舌を挑発的に出される。

「やっぱり意地悪してたんだ」
「気付いてなかった?」
「もう。ルルーシュとは絶対しない」

ぷいっと横を向いてしまう。そんな反抗を見せられても、可愛いだけなのだが。ルルーシュは微笑みかけて、スザクの耳たぶを食んだ。

「悪かったよ」

甘く囁いて、腰を動かし始めると、すぐに高いあえぎが耳に届く。まるで媚薬のようにスザクのそれはルルーシュを高めた。

「あっ、ぁあっ、……」
「スザク、好きだ。愛している…」
「ふぁっ、ぁ…僕も、僕もだよ、ルルーシュ……!」

結局は陥落して許してくれる優しい恋人に、ルルーシュは欲望をたっぷりと注ぎ込んだ。甘えているという自覚はある。スザクも言っていたが、ルルーシュの先導によって、スザクの方から行為を誘うことが圧倒的に多い。単純な不安感と純粋な愛情からによるものなのだが。
本当にさせてもらえなくなったら困るな…。ルルーシュはどうフォローするか悩みながら、スザクの汗ばんだ額に口付けした。




2008/1/3 終わり
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