Sweet

指先で甘いクリームを舐め取った。

窓の外は真っ暗で、冷えた空気を纏っている。もう12月を迎えていた。今日はルルーシュの誕生日だ。

用意した円形のチョコレートケーキに、そっとメッセージプレートを乗せて、スザクはルルーシュの帰りを待っていた。
時刻はちょうど0時を回ったほど。君を一番に祝いたい、そう我が儘を言ってみたら、ルルーシュは快諾してくれた。
それから今夜日付が変わる少し前に、ルルーシュの部屋に来るようにと言われたのだ。嬉しくて胸が踊った。
誕生日にルルーシュからもらった金のイヤリングを耳に、部屋を訪ねてみたが、ノックをしても応答が無い。
入ってみると誰もいなかった。部屋の中はしん、と静まりかえっている。
しかし、鍵が開いていたということはすぐに帰ってくるのだろう。
エアコンもついたままで、部屋の中は暖かい空気が流れている。

ケーキを出して、椅子に座る。
じっと待っているのもつまらないので、ルルーシュが帰ってきたら何と言おうかぼんやりと考えた。

『おかえり。またどこかに行っていたの』
『ナナリーを置いて、どこに行っているの』
『最近どうして学校に来ないの』

頭を左右に振る。まずは、『おめでとう』だろう。

時刻は0時を回ってしまっていた。
だんだんと、ルルーシュに対してすねた気分が沸いて、スザクはチョコレートケーキの真ん中に指を突っ込んだのだった。
手についたクリームを舐めとる。

甘いなんて嘘だ。ルルーシュ、君が好きなのは、僕とは違う、苦みも含むチョコレート。

舌を動かしながら目を伏せた。
一人きりの部屋で、何とも言えない寂しさがこみあげる。
ルルーシュに何かあったのだろうかと、心配にまでなってきた。

ルルーシュは約束を破ることは無かった。
日本人ではないが、義理や人情を大切にする人間だ。だから、スザクを一人にすることはない。

そこまで考えて、再び頭を左右に振る。ここはルルーシュの部屋なのだから、帰ってこないわけがない。

「スザク」

聞き慣れた声にはっと顔をあげる。見るとコートを脱ぎながら、息を切らしているルルーシュが近寄ってきた。

「ルルーシュ!」
「すまない、見回りを会長に頼まれていて」
ルルーシュに歩みよって、冷えきった頬に触れた。ルルーシュはその手の平を重ねて、暖かいな、と笑った。

「ルルーシュ、おめでとう」
「ありがとう」

用意していた言葉を言うと、ルルーシュにじっと見つめられた。二人だけの空間が気恥ずかしくて、目を反らそうとしたらイヤリングに触れられた。軽い金属音の後、ルルーシュの瞳がゆっくりと近付いてくる。

「ん……」

冷たい唇が触れた。なんだかいつもとは違う感触がして、スザクはルルーシュの下唇に吸い付いた。それに誘われるように、ルルーシュの舌が口内に侵入してきた。

舌は熱いんだ……。

とろんとした目をルルーシュに向けたまま、互いの唾液を絡めた。ぎゅっとルルーシュの体を抱き寄せると、そのまま軽く押されてベッドに座らされた。

「あ、待って……」
「うん?」
「ケーキ、買ってきたんだ」
「ああ、ありがとう」

ルルーシュはテーブルの上に置いてあるチョコレートケーキに目を向けた。上には律儀に誕生日おめでとうとメッセージが書いてある。

「あと、これ」

スザクがルルーシュの耳に手を伸ばした。銀色の翼を模したイアリングだ。スザクのものと対になるようなデザインだった。つけやすいように耳をスザクの方に向けてくれた。耳元から金属音が小さく響いた。

「ついたよ」
「ありがとう」
「ルルーシュ、」

スザクがじっとルルーシュを見つめる。何を言わんとしているか、ルルーシュは首を傾げていた。けれどスザクの瞳は真剣にルルーシュを見据えている。

『この、二人を繋ぐイアリングが、決して枷にはならねども、約束を誓いに昇華させる切欠にならんことを。』

誰に祈ったのだろう。信仰心など無いに等しいスザクだったが、まじないのように頭の中で反芻した。

「どうした?スザク」
「ううん、なんでもないよ。ケーキ、後でナナリーと食べて」
「お前はいいのか?」
「うん、もう遅いしね」

ルルーシュが冷蔵庫に入れようとケーキに近付いてから、何かに気付いたように立ち止まった。スザクは首を傾げた後、はっとした。

「あの、それは……」

ルルーシュを待っている間に、八つ当たりしてしまったケーキ。真ん中に堂々と、指一本分の穴が開いている。恥ずかしくてなんとか言い訳をしようと試みたが、上手い言葉が浮かばない。あたふたとしていたら、ルルーシュがケーキをスポンジごと掬い上げた。

「ルルーシュ?」

ますます目立ってしまったケーキの破壊に焦っていたら、ルルーシュがスザクをベッドに軽く押し倒した。なすがままに指先を押し当てられた唇を開くとチョコレートクリームが口内に広がった。

「ん……」
「食べたかったんだろ?」
「違……、」
「分かってる。随分待たせたみたいだな。本当にすまない」

スザクが説明しなくても、ルルーシュは理解してくれたようだ。スザクの苛立ちはルルーシュが帰ってきた時から解消されていたから、子供っぽい行動に出てしまったことが気恥ずかしかった。

「ん、ルルーシュ……」
「スザクに一番に祝ってもらえて、うれしいよ」

くちゅ、くちゅ…ルルーシュの指を舐める。甘いチョコレートの香りに酔いながら、無心に舌を絡めていく。

「もっと欲しいか?」
「うん……」

ルルーシュが再び指でケーキを掬い取り、スザクの口内へ押し込んだ。舌先で、指の股まで丁寧に舐め取る。甘いものが大好きなスザクはこの行為に熱中していたことに気付き、はっとする。

「もっといる?」
「ダメだよ、ルルーシュ」
「うん?」
「これはルルーシュの為に買ったんだから、ルルーシュが食べて?」
「じゃあ、食べさせて?」

ちらっとルルーシュの赤い舌が見えた。スザクは誘われるように唇を重ねた。まだ舌に微かに残る甘い味を、全てルルーシュに移してやるように、丁寧に唾液を絡めた。どちらのものか分からない唾液がスザクの顎を伝った。時折漏れる吐息が焦れったくてなまめかしい。唇が離れたときには、既にお互いの息は上がってしまっていた。

「今度はスザクが食べたい。いい?」
「いいよ」

スザクは頬を赤く染めながら、ルルーシュに抱きついた。

「ぁ……」

胸を伝う手の感触に小さくあえぎを漏らす。

「冷たい?」
「ん、大丈夫……」

冷たい手の平から、再びじわりと熱が生み出されていく。すっかり突出した乳首を掴まれ、恥ずかしさにルルーシュの体をいっそう引き寄せた。
トクン、トクンとルルーシュの心音が聞こえる。暖かな人肌が気持ちいい。吐息混じりにルルーシュの耳で揺れるイヤリングを食んだ。

「スザク、そんなにくっつかれると、いじれないんだけど?」
「いや?」
「いやじゃないけど、スザクを気持ち良くさせてあげたい…」

いつものような応酬の後、スザクははっとする。

「そうだ、今日はルルーシュの誕生日なんだから、僕はルルーシュを気持ち良くさせてあげたい」

ルルーシュに言うと、耳に彼の吐息がかかった。

「十分いろいろしてもらったけど?」
「でも、もっとルルーシュに喜んでほしい。」
「そうだな……」

ルルーシュが真剣に考え出す。それからテーブルの上のケーキをちらりと見て、冷静な声をあげた。

「スザク、ちょっと後ろ向いてくれるか?」
「え?」
「お尻をこっちに向けるように。」

後ろからの体位がスザクは苦手だが、少し迷ってからルルーシュに背中を向ける。

「そう、片膝を立てて、もう少し上に」
「ゃっ、」

つぷ、と衣服の上から後ろに指を埋められる。ぴくんと腰を揺らすと、ルルーシュが上に重なって来た。

「ルルーシュ、僕……」
「大丈夫。恐くない、恐くない…。パンツ、下ろすぞ?」

ルルーシュの優しい声に少し安心して、されるがままに脱がされていく。露になった後ろを柔らかく撫でられた。

「ぁ、……?」

直に後口に指が挿入されたと思ったら、いつもと違う感触がした。ナカに丹念に何かが塗りこまれているような感覚に、スザクは足を擦り合わせる。

「な、に……?ルルーシュ?」

後ろに体を向けて見ると、彼はぺろりと自分の指を舐めていた。

「ん、ケーキ…?」
「そう。スザクを美味しく頂こうと思って。」
「僕だけじゃ、美味しくない?」
「馬鹿、違うよ。」
「っ、ぁん…!」

ルルーシュが後ろから強く抱き締めてきた。同時に深く指を突き立てられる。まだ狭いソコはきゅうきゅうとルルーシュの指を締め付けた。指にたっぷりとつけられたクリームが体内で溶けていくのを感じる。

「ゃ、あ……これ…気持ち悪い……」
「大丈夫。スザクのココはエッチだから、すぐに美味しく食べれるようになるよ?」
「ゃっ、ぁん……」

どうやらルルーシュは変なモードに入ってしまったらしい。グチュグチュとナカを掻き回されて、ひっかくように内壁を刺激される。一度指が出ていったかと思うと、今度は二本になって侵入してくる。

「ぁ、ぁう……」
「これも食べられるかな?」
「ゃっ、……」

ケーキの上に乗っていたイチゴだった。狭い内壁を押上げていて、少しでも力をいれたらナカで潰れてしまうかもしれない。スザクは目に涙を浮かべて、ルルーシュを見上げた。

「はぅ……ルルーシュ、ゃっ……もう…」
「やだ?でも、こっちもこんなに可愛くなってるよ?」

先走りを溢している自身をぎゅっと掴まれた。直接的な刺激に反応して、収縮した内壁からぶちゅ、っと嫌な音が聞こえる。

「ぁ……」

後口からピンク色の液体が溢れていく。挿入されていたイチゴが潰れてしまったようだ。

「ぅっ、ひっく…」

衝撃にスザクが泣き出すと、ルルーシュもようやく慌て始めた。

「スザク、悪かった!」
「ぅー、」
「もうしないから!ごめんな?スザク?」
「ひっく、ぅ……ルルーシュぅ…」

布団に顔を埋めるスザクの頬にキスをして、ルルーシュは何度も謝る。

「スザク、ごめんな?」
「ゃだ、もぅ……」
「もうしないから!スザクが可愛くてつい…」
「後ろは嫌だって言った…」
「うん、分かってる。強要してごめん」
「ルルーシュの顔見て、したいから……」
「うん。……え?」

スザクが赤らめた顔を上げ、ルルーシュに抱きつく。向き合う形になって、スザクは今だ液体が流れるソコに自分の指を挿入した。

「スザク?」
「……」
「顔見て、ならいいの?」

ルルーシュが微笑みかける。スザクは頷くこともせずに、顔を真っ赤にさせている。

「ぁっ、あ……、あ」
せつなげな声が漏れる。じゅる、じゅると卑猥な音が部屋に響いていた。ルルーシュはスザクの秘部に顔を埋め、内壁に埋められたイチゴに吸い付いている。ナカも充分に濡れていて、もう簡単にルルーシュを受け入れられるというのに、ルルーシュは挿入する素振りを見せない。さっきから前もいじってもらえないので、じわじわとした快感がずっと続いている。ルルーシュはスザクが懇願するまで待っているつもりなのだろうか。いつもそうなんだから…。ぼーっとした頭でルルーシュを見る。

「んっ、ルルーシュ、美味しい?」
「ああ、美味しいよ。」
「えっ、ぁっ、ゃっ…!」

その言葉が引き金になったのだろうか?いきなりルルーシュの指が後口を拡げた。内壁までが空気に晒される感覚にスザクは困惑する。

「ゃっ、だぁ、ルルーシュ!」

おさえていたルルーシュの頭をはがそうとする前に、彼の体が移動してきて、キスで抗議を塞がれた。やさしく体を押し倒されて、すぐに、固くなったルルーシュ自身が入り口にあてがわれる。

「ぇっ、え、ゃっ」

じゅく、じゅくと入り口付近を拡げるようにジラされる。じれったい快感にわけも分からず、スザクは一度目の射精をしてしまった。その衝撃のまま、収縮したナカを今度は一気に突き抜かれる。

「ゃーっ!ぁっ、あっ、」
「スザク、キスして…?」
「ぁっ、ん、ぅ…」

狭い内壁をルルーシュが何度も何度も行き来する。侵されていく感覚に身を震わせながら、ルルーシュの唇に噛みついた。大好きだよ、という気持ちを込めて。
充分に溶かされていたから、痛みはなかった。

「ルルーシュ、ルルーシュ……ゃっ、あ」

激しくナカを動くルルーシュに、今だ体がついていけず、息切れ切れに名前を呼ぶ。ルルーシュは優しく微笑みかけるのに、動くのをやめてくれる素振りはない。泡立つような感覚と、焼けるような熱さに、スザクの意識はくらくらと揺れる。苦しいはずなのに、押し広げられる感覚に快感を感じる。

「ルルーシュ、ん…」
「スザク、愛してる……」
「ルルーシュ、ぁっ、あ、ん、美味しい?っ、僕……」
「うん、美味しいよ?スザク、可愛い……」

なんでこんな恥ずかしい言葉が出たのかわからない。けれどルルーシュの幸せそうな顔を見て、スザクも嬉しくなる。ルルーシュの背中に回していた腕を強めると、さらにぐっと押し上げられた。

「あっ、ルルーシュ、ちょうだ…ぃ」
「っ、うん?」
「ルルーシュの、精液、ちょうだい……」
「うん、あげる。スザクのナカにいっぱいあげるよ、……」
「ぁっ、んん……」

狭い内部に、たっぷりとルルーシュの欲望が吐き出された。ルルーシュの誕生日なのに、彼にちょうだい、なんて懇願するなんて、と後で少し後悔したスザクだった。ルルーシュに言ったら、可愛いから気にしなくていいよ、と甘く許してくれたので、まぁ良かったのだけれど。
行為に疲れきった二人は、お約束通りに、その日の授業には遅れてしまった。それもまた、ルルーシュの誕生日を祝えたからいいか、と、普段は真面目なスザクだが思ったのだった。




2007/12/5 終わり
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