総てがゼロになる

銃口を突き付けあって、何を思ったか。

思考は異常な程クリアで、信じたくはなかったと放った言葉も、冷静に響いた。受け入れていた。

ルルーシュが、ゼロ。ずっと目をそらしていた事実。僕が悪かったのだろうか。



ずっと言いたかったことがあった。
僕が犯した罪。僕が考える世界。僕の理想、望み。
あの時。君たちと別れた時、伝えることが出来なかった。
再会しても、願いが叶ったというのに、本当に大切なことは伝えることが出来なかった。


君ともっと話せば良かった。君に自分をさらけ出せば良かった。

スザクは恐れていた。ルルーシュに、汚れた自分をさらけ出し、軽蔑されることが一番の恐怖だった。
ルルーシュを信じていない訳では無かった。ただ、自分の保身しか考えつかなかった。その癖、ルルーシュがさらけ出すことを求めた。もしかしたら、お互いにそうだったのかもしれない。


そして、それは。


銃口の先は、仮面の裏の素顔を暴かれた、君。真っ直ぐと見据える、鏡写しのような彼の目に、迷いは見えない。


きっと、俺も。 終わりにしなくてはいけない。激昂しなければならない。怒りに任せて、彼を憎まなければいけない。
…、彼を、撃たなければいけない。



そして、それは。
スザクに覚悟をもたらした、それは。
紛れもない、愛の形に似ていた―。





2008/4/5 終わり
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