愛のカタチ

Ludas

ジノ・ヴァインベルグは彼を後から組みしきながら、ぼんやりと思考する。
彼の体は随分と、自分になじんできている。
スポーツみたいなものだ、なんて、割り切れていたら、どれだけ良かったんだろう。

きっと、彼には足りないものがある。
それは人間として、などという大層なものではないけれど、彼が生きて行くのに足りない、重要なものである。
彼はそれを欠けさせたまま、生きて行こうとしている。もしくは、死ぬために生きている。
それは嫌だなぁ、なんて、軽い気持ちが沸いたのが最初だった。
それを変えたいなぁ、なんて、軽い気持ちで抱いたのが最後だった。

変わっていくのはきっと、ジノの方だった。

「スザク、わたしの制服はどうだ?似合っているだろ?」
「んっ、ジノ、サイズあったんだな」
「アッシュフォードにはスザクもいたんだろう?どうだった?楽しいか?」
「っ、……さぁ、ね?任務だったし、それに……」

瞬間、スザクの表情がどこかへ行ってしまうのではないか、と言うほど儚げなものだったから、ジノは彼の体を抱きしめた。大きく反った背中に、痛い、と不満気な声を上げられた。

「もう、忘れたよ」

冷たく響いたそれは更なる言及を拒絶していた。それで、ジノは行為に専念することにする。
挿入をしたまま、彼の体を抱きあげて、座位の形に体位を変える。
角度の変わった切っ先に、スザクの内壁は打ち震えた。締めつけて放さないソコに、求められているのだと錯覚する。

「スザク、」
「んっ、なに?」

名前を耳元で囁く。息を切らしながら、彼は微笑む。それから小さな舌で、ジノの唇をぺろりとなぞる。
そのまま引き寄せられて、言葉を奪われた。多分、気付かれた。感づかれた。
微かな敗北感が彼に対して沸く。それから、あまやかな充足感。こんな、言わば包容力なんてものが、自分に内包されていたなんて、ジノは驚きを隠せない。
容赦なく、彼の体内を進む。
食らいついて離さない獰猛なソレと、かわいらしく淫らに喘ぐその声とのギャップに、脳内がくらくらと揺らぐ。

「んっ、ぁ、ジノ…、」
「いいよー、イって」
「ふぁっ、ぁ……」

スザクが声を上げる。限界が近いのだろう、結合箇所の締め付けが強くなる。
絶頂の表情を見るために、彼の顎を掴み、強引にこちらに顔を引き寄せた。
瞬間、うるんだ瞳と視線がかち合う。
大きく見開かれたと思うと、一際高い嬌声とともに、白濁が吐き出される。
ジノの方も、狭いソコに自身の欲望を打ちつけた。

「よかった?」
「そういうこと、聞くかな」

スザクはイったばかりの敏感な体を震わせながら、ジノの首に腕を回す。
呂律の回らない口調で、耳元で囁かれた。

「今度はジノの顔みて、したい」
「りょーかい」

誘われるがまま、溺れて行く。
深い海の底に、捉われて行く。

先刻流されていった、言葉は、どこに落ちて行ったんだろう。
スザクの心に届くことはないのだろうか。
わたしと彼の間に、甘い睦言は必要ない、そういうことなのだろうか。

わたしにも、足りないものがある。
でも、それでも、わたしは君を愛しいと思うよ、スザク。


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